ようやく『anemoi』を最後までプレイし終えたので、今回は感想を書いていこうと思います。
結論から言うと、「これぞKey作品」と思わせてくれる一本でした。
笑える日常パートから一転、終盤はしっかり泣かせにきてくれる展開で、Keyらしさを存分に味わえた作品だったと思います。
ちなみに、前回『ディメンション凸ラバース』を完走したのが5月29日。
そこから『anemoi』をクリアするまで、実に2か月以上かかってしまいました。
ボリュームがある作品とはいえ、さすがに時間をかけすぎましたね……。

この作品を一言で表すのであれば…『人生』かな。
評価
こんな人におすすめ
- Key作品をあまりプレイしたことがない人
- 田舎でのスローライフ系作品が好きな人
- 日常から心に残るシナリオへ展開する作品が好きな人
これまで触れてきたKey作品
anemoiを語る前に、どれだけ今までKey作品に触れてきたのか、
一つの指標になればと思います。
Key作品については昔から好きで、
一時期は自分でも「鍵っ子」と名乗るくらいには作品に触れてきました。
- Kanon(アニメ)
- AIR(アニメ・ゲーム)
- CLANNAD(アニメ・ゲーム)
- 智代アフター
- リトルバスターズ(PSP、EX、アニメ)
- Rewrite(アニメ)
- Angel Beats!(アニメ)
- Charlotte
- Summer Pockets(アニメ)
CLANNAD、リトバスについては普通に当時泣いていた記憶がありますね。
感想
優しい街の雰囲気と、そこに暮らす人々
この作品の象徴と言えるものだと思いますが、
舞台である「真澄町」の優しい雰囲気が本当によく描かれていたなと思いました。
よそからやってきた主人公と妹を特別扱いするわけでもなく、
自然に受け入れてくれる町の人々。
困った時には誰かが手を差し伸べ、
町全体で助け合って生活している。
そんな温かい世界観が、anemoiという作品の大きな魅力だと感じました。
昔からの鍵っ子視点では…
正直に言うと、面白くないわけではない。
しかし、手放しで新鮮だったと言える作品でもない。
全体を通して、そんな印象を受けました。
どの要素も、恐らく初めてKey作品に触れる人であれば、素直に楽しめる魅力があると思います。
ただ、これまで数多くのKey作品に触れてきた身としては、どうしても既視感を覚える部分がありました。
もちろん、これはanemoiの出来が悪いという話ではありません。
むしろ「Keyらしさ」を大切にしているからこそ、
「あぁ、Key作品ってこういう感じだったな」
という安心感にも繋がっています。
ただ、その一方で過去作を知っているからこそ、驚きや新鮮さを感じにくくなってしまった部分は少し勿体なく感じました。
そんな感想を抱いた自分でも、淡雪√については別格だと思いました。
好みの音楽が特に無かった
これは完全に個人の好みによる部分が大きいと思います。
Key作品と言えば、個人的には「音楽の素晴らしさ」と「心を動かすシナリオ」が大きな魅力の一つだと思っています。
そのため、今作でも音楽にはかなり期待していたのですが、プレイを終えた時に特に強く印象に残る楽曲はありませんでした。
もちろん、楽曲自体の完成度が低いという話ではありません。
あくまで自分の好みに刺さる曲が少なかった、という表現が近いと思います。
過去のKey作品では、何年経っても聴き返したくなるような楽曲が多かっただけに、そこを期待していた分、少し物足りなさを感じました。
ネタバレ有り個別感想
ここからはネタバレ有りで、各キャラクターの感想を書こうと思います。
記載順=プレイ順で、サブキャラも書くとちょっと長くなるのでメインのみとさせていただきます。
総羽愛乃

今作のロリ枠である愛乃。
先に言っておくと、私はロリ系のキャラクターがそこまで得意ではありません。
Key作品で言えば『CLANNAD』の風子や、『リトルバスターズ!』のクドなど、人気の高いキャラクターではありますが、個人的には刺さりきらないことが多いです。
そのため、最初は愛乃√もどうなるのかなと思いながらプレイしていました。
序盤では、飛行機を作って故郷へ帰ることが目標として描かれており、最終的には麦と一緒に帰還して終わる展開なのかなと思っていました。
しかし、物語が進むにつれて、この街にいる愛乃は本物ではなく、事故によって寝たきりになっている本当の愛乃が見ている夢のような存在であることが分かります。
そこから物語の軸が「愛乃が帰る」ではなく、「本当の愛乃のために自分自身が消える」という方向へ変わっていく展開は、主人公がどのような決断をするのかという視点で楽しむことができました。
一方で、カレイドワールドにどうやって辿り着いたのか、そして最後に街のみんなが愛乃の存在を忘れてしまっている部分については、少し引っかかりが残りました。
愛乃と過ごした日々や思い出は、例え姿が見えなくなったとしても、みんなの中に残っているという描写でも良かったのではないかなと思います。
ただ、自分が夢の存在であることを理解しながら、本来の自分へ未来を託すという愛乃の選択は、とても強いものだったと思います。
体は小さな少女ですが、自分よりも誰かを優先できる芯の強さを持ったキャラクターだと感じました。
白渡小詠

最初に抱いた感想は、
「ピィピィうるさいな、鳥かよ」
でした。
……と思っていたら、本当に鳥でした。
鳥ならピィピィ言っていても仕方ないですね。
小詠(ピリカ)へ向けた手紙が読まれるシーン。
ここは、泣きゲーとして非常に王道ながら、しっかり心を動かされる展開でした。
「こういう展開になるんだろうな」と予想できる部分はありましたが、やっぱりこういう王道の感動を見せてくれる作品は良いなと思います。
小詠はおじいさんに対して罪悪感を抱えていましたが、おじいさんが小詠のことを本当に大切に思っていたことが伝わるシーンでした。
そして、その想いを届けるためにボロボロになりながらも頑張る麦も非常に格好良かったです。
淡雪√を個人的には絶賛していますが、淡雪√が描いているものは、どちらかと言えば「美しさ」だと思っています。
それに対して小詠√は「感動」。
純粋な泣きゲーとして見るなら、こちらの方が王道の良さを持ったシナリオだったと思います。
速川六花

主人公・麦の妹にあたる六花。
口癖は「兄さん、ご立派です!」で、何でも主人公を肯定してくれるキャラクターです。
……この口癖、どこかで聞き覚えがあるような気がしますね。

ただ、実妹との関係を描いたエロゲ作品とは違い、六花と麦の関係はあくまで「家族としての絆」が中心に描かれていました。
麦が妹を何より大切にしていることは伝わってきますし、六花もまた麦のことを大切に思っている。
しかし、それは恋愛感情ではなく、誰が見ても分かる家族愛として描かれていたのが印象的でした。
……とはいえ、兄妹で一緒にお風呂に入ることを普通だと思っている価値観には、少し驚きましたが。
そして、本来の妹である六花がすでに亡くなっていたという事実には驚かされました。
さらに、本来の旅を終えて六花が消えた後、麦自身も命を絶とうとしていたことには衝撃を受けました。
なぜ麦がここまで妹を最優先するのか。
それは、災害の際に六花を助けられなかったという罪悪感が根底にあったからなのかなと思います。
この物語のテーマの一つは、麦が六花への執着から少しずつ前へ進んでいく、いわば「妹離れ」だったのかもしれません。
共通ルートで感じていた疑問が、この√で少しずつ解消されていく構成になっており、個人的には非常に満足度の高いシナリオでした。
最後の卒業式のシーン。
もし、六花がたとえ幻想の存在だったとしても、麦に返事をして卒業証書を受け取っていたら……と思うと、正直泣いていたかもしれません。
淡雪陽彩

個人的に、anemoiの中で一番読んでいて面白く、そして美しいと感じたシナリオです。
まずキャラクターとして非常に好きでした。
見た目ももちろん魅力的ですし胸も大きいのでね。
私がリトバスで好きなのは来ヶ谷唯湖です。察してください。
ここまで、愛乃、小詠、六花と「人外」のキャラクターが続いていたこともあり、淡雪も普通の人間ではないのだろうなとは感じていました。
しかし、まさか地球外生命体だとは思っていませんでした。
地球外生命体ってなんだよ、と。
序盤の淡雪は「人としての常識」が欠けているように感じました。
実際、それは間違いではなく、自分が麦に対してどれほど酷なことをしていたのか理解できていませんでした。
しかし、自分自身が同じような状況に置かれたことで、初めて自分の行動の意味や相手の気持ちを理解していく。
麦との関わりの中で、少しずつ人間らしさを獲得していく過程は、読んでいて非常に面白かったです。
一周目では、淡雪は美しいまま消えていく、ある意味「淡雪らしい」悲恋を迎えます。
悲しい結末ではありますが、それでも美しい。
それは、何よりも「美」を追い求めていた淡雪というキャラクターだからこそ成立する結末だったのかなと思います。
しかし、ここから「蛇足」とも言える物語が始まります。
告白する前の時間へ戻り、淡雪と「友達」として過ごすのか。
それとも、「恋人」として最後まで諦めない道を選ぶのか。
Another:友達として
友達として過ごすAnotherルートも非常に良かったです。
淡雪、つづら、麦。
この3人のやり取りがとても楽しく、3人だからこそ成立する関係性だったと思います。
これならば、淡雪はずっと麦やつづらと一緒にいることができる。
ある意味では、とても合理的な選択なのかもしれません。
そして、年老いたつづらと麦を看取る淡雪。
最後の最後まで麦に「好き」と伝えることができず、涙する淡雪。
これもまた、淡雪らしい美しい終わり方だったと思います。
そして、これから淡雪は生き続け、また別の誰かと時間を過ごしていく未来が示されます。
そう思ったところで、再び選択肢が現れます。
The One:家族になろうよ
再び告白する前へ戻る。
しかし今度の麦は、好きだからこそ自分の想いを伝えることを選びます。
好きだからこそ、想いを伝えれば別れが訪れる可能性もある。
それでも足掻く。
その麦の姿勢は、本当に良かったと思います。
そして、その想いに答える淡雪。
この告白シーンは個人的にかなり好きな場面でした。
しかし、やはり淡雪が消えてしまう未来は変わりません。
そんな淡雪と最後に浜辺で金平糖を投げ合うシーン。
お互いに「好き」と伝えながら金平糖を投げ合う姿は、とても微笑ましく、そして切ないものでした。
そして最後の、
……家族になりたい
この麦の言葉。
ここが個人的にanemoiで一番好きな場面です。
淡雪にとって「家族」という存在になること。
それは、麦にとって非常に大きな意味を持つものだったと思います。
麦にとって家族は特別な存在だった。
だからこそ、淡雪に「家族になりたい」と伝えることには、単なる恋愛以上の想いが込められていたのだと思います。
もちろん、その返事を聞く前に淡雪は消えてしまいます。
その後、淡雪が戻ってくる展開については、
「なぜ戻ってこれたのか」
「別の世界線でも同じように戻ってこれたのではないか」
という疑問は正直ありました。
ただ、ハッピーエンドとして見るなら、これはこれで良い終わり方だったと思います。
個人的には、淡雪との物語は悲恋だからこそ美しいという気持ちもあり、もし戻ってこない結末だったとしても、それはそれで非常に好きなシナリオでした。
しかし、「美」を追求し続けた淡雪が、最後には美しくないと分かっている選択をする。
その選択にこそ、淡雪が人間らしく変化した意味があるのではないかなと思います。
辻倉朱比華

anemoiのメインヒロインにあたるキャラクターですね。
当然、一番期待していたキャラクターでもあります。ビジュアルも好みでした。
見た目だけで言えばクールそうな印象ですが、案外抜けているところもあって、可愛らしいキャラクターでした。
スピカ√は「スピカ√ → eternicle → anemoi」の3部構成になっており、メインとなる大きな物語がスピカ√で描かれ、その続編をeternicleとanemoiで描いていく構成になっています。
多分、サマポケと同じような構成なんじゃないですかね。
CLANNADでいうところのAfter Storyに近いイメージです。
ただ、本当に個人的な話をさせてもらうと、僕はanemoi√の終わり方が正直あまり好みではありませんでした。
僕がCLANNADやリトルバスターズが好きな理由って、途中まで辛いことがあったとしても、最後にはハッピーエンドを迎えてくれるところなんですよね。
それに対してanemoiでは、「麦は本当に幸せだったのかな」と思ってしまいました。
スピカは風となって消えてしまい、せっかくできた妹までスピカを探すために旅に出てしまう。
その結果、麦は30歳くらいで妻も娘も実質的に失ったような状態になってしまいます。
そして最終的には、スピカが会いに来て終わる。
……という感じなのですが、正直、どこで感動したらいいのか分からなかったんですよね。
あそこは「娘がカレイドスコープに辿り着いて、帰ってくることができた」という解釈でいいのか、それとも別の意味があるのか。
僕の読む力が足りなくて理解できていないだけの可能性ももちろんありますが、個人的には少し腑に落ちない終わり方でした。
むしろ、泣けるシーンとしては、麦が父親一人で娘を育てることに苦悩している場面のほうが、よっぽど感動できました。
自分もそろそろ父親になる年齢だから、というのもあると思います。
ただ、一番最後のオチが自分の好みに合わなかっただけで、それまでが面白かったのは嘘ではありません。
いい人生だった
麦が最後に笑ってこう告げたことが、この物語に対する答えなんだということは分かっています。
そして個人的には、渚を失った後に汐と向き合うことができずに過ごしていた朋也よりも、一人になってもずっと娘と向き合い続けた麦の人生を描いたこのゲームのほうが、「人生」というものを強く感じさせてくれたように思います。
まとめ
・キャラクターおよび、ゲームの雰囲気はとても良い
・不快なキャラクターがいない
・個人的にはオチが好きではなかった
個別のシナリオについては、面白かったなって終わってみれば思います。
そこまで長いわけではないので、プレイ中もそこまでダレる感じはあまりしなかったかなと思います。
ただ、共通が本当に長い。あれを今の時代にさせられるのは個人的には辛い。
でも、それがKeyのフルプライスゲームだろと言われれば、そうかもしれないんですけど、でも辛い。
後、次の選択肢へスキップくらい用意してほしいです。


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