カルタグラ 感想|妄執と狂気の果てに待つものとは

エロゲ感想

今回は、Innocent Greyの『カルタグラ ~ツキ狂イノ病~《REBIRTH FHD SIZE EDITION》』をプレイした感想。

イノグレ作品に触れるのはこれが初めてだったが、
正直に言って──今まで避けていたことを後悔した。

『殻ノ少女』などの評判から「グロい・憂鬱」という印象が強く、ずっと敬遠していたが、それは完全に食わず嫌いだった。

本作をプレイしたきっかけは、「ミステリー要素のあるエロゲがやりたい」と思ったから。

だが、この時の自分はまだ知らなかった。
この作品が、ただのミステリーでは終わらないということを

評価

総合評価:80点

絵、音楽が高品質な狂気的ミステリーゲー
人を選ぶがクリックする手が止まらない

シナリオ

85/100

キャラクター

85/100

音楽

90/100

文章

80/100

万人受け

60/100

作品情報

カルタグラ ~ツキ狂イノ病~
カルタグラ パケ
ジャンル
和風サイコミステリィAVG
ブランド
価格
¥8,800 (税込)
原画
杉菜水姫
おすすめ度
プレイ時間
15時間程度
カルタグラ8,800円

作品紹介

「逗子の良家息女が失踪」。娘の父親は、娘の捜索を警察官である有島一磨に依頼する。これまでにも有島一磨から仕事を紹介されていた彼からすればなんてことのない依頼である。捜索する人物を除けば。捜索対象は上月由良。高城秋五がかつて逢瀬を交わした娘であった。そして戦争と同時に別れを告げた相手。依頼主が待つ逗子に到着すると、上月 由良の妹である上月 和菜から姉の捜索を懇願される。だが、父親の上月慶一郎は密かに高城秋五に告げる。「あの娘は、本当は死んでいるんですよ……」と。

そんなこんなで、主人公は捜索を開始するのだが、
やがて一つの事件に巻き込まれていく。

――『上野連続バラバラ殺人事件

誰が、何のためにこんな事件を起こしているのか。
そして失踪した由良は、この事件と関係しているのか。

物語の導入として、プレイヤーを惹き込むには十分すぎる掴みだった。

こんな人におすすめ

  • ミステリー要素のあるエロゲをしたい
  • 音楽の良いゲームをしたい
  • 引き込まれる設定を堪能したい
  • 終戦後の日本という時代設定に引き込まれた人

良かった点

美しいCGと世界観にあった音楽

イノグレ作品の魅力といえば、やはり杉菜水姫氏の手がける美しいCGだろう。

本作『カルタグラ』は元々古い作品ではあるが、
現代向けに加筆・修正されたビジュアルに加え、新規CGも追加されている。

その完成度は非常に高く、
令和の今プレイしても、グラフィック面で不満を感じることはほとんどない。

アマカノ2CG

 

音楽についても完成度が高い。

中でも印象的だったのは「孤独の海」。
どこか物悲しく、作品全体の陰鬱な雰囲気をより引き立てている。

ボーカルを担当する霜月はるかの楽曲はあまり聴いてこなかったが、
本作を通して強く印象に残った。

BGMもシーンごとにしっかりとハマっており、
世界観への没入感を支えている要素の一つだと感じた。

個人的なお気に入りは「海の影」。
この文章を書いている今も、つい流してしまうほど印象に残っている。

終始張り詰めた空気感

猟奇的な殺人がテーマの一つとなっている本作は、
終始その不穏さを感じさせるテキストで描かれている。

その空気感に引き込まれ、気づけば読み進める手が止まらなくなっていた。

普段はミステリー作品に触れる機会が少ない自分でも、
文章だけでここまで惹き込ませるライターの力量には感心させられる。

誰が犯人なのか。
この人物は敵なのか、それとも味方なのか――

そんな疑念と緊張感が、物語の最後まで張り詰めていた。

妄執と狂気に至る愛

妄執と狂気に至る愛」というキャッチコピーは、この作品の本質を見事に表している。

本作は、ただのミステリー要素のあるエロゲではない。
ヒロインの“”が妄執と狂気の果てに辿り着く感情は、
もはや常識的な価値観では測れない。

だがそれでもなお、どこか“純愛”だと感じてしまう――
そんなヒロインに出会えた作品だった。

気になった点

主人公の活躍は少ない

女を抱いて、気づいたら事件が発生して、気づいたら他のキャラクターが真相に辿り着いていたというイメージが強い。

人間味のある主人公ではあるため、特別不快に感じることはないのだが、
もう少し主体的に活躍してほしかった、というのが正直なところだ。

また、人が亡くなった直後にも関わらず、平然とその日に女性と関係を持つ描写には、
やや違和感を覚える場面もあった。

活躍は控えめだが、女性関係には積極的。
ある意味では“らしい”主人公ではあるものの、
もう一歩踏み込んだ活躍が見たかった。

まぁ、七七が有能すぎるのが良くないか。

ルート分岐が多すぎる

選択肢が多く、しかもルート分岐まで多いと来た。
そのせいでこまめにセーブをしないとならない。

別に不満という不満ではないが、大変だった。(小並感)

 

ネタバレ込み感想

アマカノ2CG

個人的には、由良と同等かそれ以上に好きなヒロインだった。
だからこそ、どのルートへ進んでも亡くなってしまうという事実が辛かった。

主人公のことをただ、純粋に愛してくれていてその優しさは自分が亡くなってもなお表現されていた。私の肉を食べて生き延びてくれと伝えるヒロインなんて中々いないからね。

凛ルートが追加要素ってマジ?って感想と、このリメイク前にやった先人たちは救いがなかったと思うと、ただただ辛い。

七七

アマカノ2CG

由良が壊れるべくして壊れてしまったキャラクターに対して、ナチュナルに壊れているキャラクター。

正直由良よりお前が怖いよ…
事件は解決するし、なんでも知ってるし、主人公への異常とも言える愛情も、なにもかも。文章を読む限り、恐らくカニバリズムも行っているし精神状態可笑しいよ…

普通に周りにいてほしくないキャラクター筆頭である。

こいつが有能すぎる故、主人公がより無能に見えるという。兄より優れた妹は存在する!

アマカノ2CG

みんなも自分の身を守るためにバリツを習おう。

和菜

アマカノ2CG

いい子ではあるのだがいい子…という感想しか抱けないのは由良の魅力のせいなのか。

正史だけで言えば、和菜ルートだと聞いたためメインヒロインは誰なのかと問われると、やはり和菜なのだろうがどうしても、由良に目を引かれてしまう。

旅立ちENDでは、和菜に罪悪感を持った主人公が和奈を置いて旅に出てしまうし、別れの場面では、由良がつけていなかったリボンを捨て、和菜であることを辞めようとしたりと可哀想な印象を持たされた。

TRUEは二人でこれを乗り越えて一緒に生きていこうといった感じで子供も出来て…という終わり方ではあった。

ただ、どうしても感情移入というか行動に理解を出来なかったヒロインでもあった。
元々、姉妹としての絆という絆があったわけでもないのに、すごく罪悪感を持っているのも、自分の命を落とすことを躊躇わないのも理解が出来ない。

なぜ、これほど和菜が姉への罪悪感を持っていたのかというのが響かなかったのと、すごく姉を愛していて狂ってしまった姉のために自分の命を落とすのも躊躇わないという描写があればまた変わっていたのだろう。

ひぐらしのなく頃にの園崎姉妹のほうがまだ理解できる。

冬史

アマカノ2CG

嫌いな人はいるのだろうか。
あまりにも男前で、たまに見る女の部分がギャップで可愛い姉さん。頼りがいが独り歩きしてる。

隻腕というハンディキャップがあるにも関わらず、そのことを嘆いたり愚痴ったりしない強さが本当に凄い。

しかも、色々とあったことを告げる由良に対してもこの一言

「結局の所――、お前は弱かったから、運命に屈した。それだけのことだ」

カッコよすぎる。

しかも、瀕死の状態で赤尾を一人で倒したり、その後のもうこれは死んだか…という状況下から生還したりと人間辞めてる。

そんなカッコよさもあるのに、味噌への絶対的信頼があったり、主人公が他の女と仲良くなっていると不機嫌になったりと可愛い一面もあるのが彼女の魅力だろう。

有島

アマカノ2CG

男前で、主人公も尊敬していた元上司。
困ったら助けてくれる兄貴分キャラとして凄く好きだったキャラ。

愛したものへ裏切られ、腐敗している国を嘆いていた。
脳破壊されちゃったならね、しょうがないね。

主人公へ見せていた姿は本当に全てが偽りだったのだろうか。
そうは想いたくないな…

犯人役としては、どうなんだろう。
正直、主人公の言ってたことは状況証拠にしかならないしまだまだ言い逃れできた点もありそうだけど、ええか…

 

由良

アマカノ2CG

この作品を一言で表すなら、由良の“愛”の物語だろう。

愛する主人公の想いを自分一人に向けさせるため、
近づく女性を排除していく――
妄執と狂気を内包したヒロインである。

こうして切り取ると、ただの狂人のようにも見える。
しかし本作では、由良が狂気へと至るに至ったバックボーンが丁寧に描かれている。

目の色が灰色というだけで、親や村から迫害され、実験道具のように扱われる日々。
さらに、唯一の拠り所であった主人公も徴兵によって失われてしまう。

そんな環境の中で、なお生き続けることを選んだ理由が、主人公への“愛”であったことは想像に難くない。

自分自身が同じ立場に立ったことはない以上、その感情を完全に理解することはできない。
だが、それでもなお――
主人公だけを生きる理由とする彼女の在り方には、確かな説得力があった。

もちろん、人を殺めるという行為を肯定することはできない。
それでも、この極限まで歪んだ想いは、
どこか“純愛”と呼べてしまうほどの強さと美しさを感じさせる。

<BadEnd「海の影」>

アマカノ2CG

私が気に入っている終わり方であり、人気も高いエンディングだろう。
このエンディングは、由良が主人公以外誰も信用できない、主人公の愛が自分以外に向かうことが赦せないという気持ちから来ている。

この狂気とも言える愛情が由良らしさをよく描かれているため私は気に入っている。

ああ、雪が降っていたのね…」で始まり、これで終わるのも評価できる点だろう。

入水することによって、主人公にとって自分を消えない棘として残す
そんな考えがいるヒロインもそうそう居ない。

<GoodEnd「海の光」>

アマカノ2CG

海の影」とは対照的に、
信頼することで辿り着くエンディングが「海の光」だ。
この対比から考えると、本作における「」とは、互いの信頼の上に成り立つものなのかもしれない。

由良は、これまで誰からも愛されてこなかった。
だからこそ“愛する”ということを知らなかったのだろう。

彼女の行動は、主人公を愛していたから周囲の女性を排除したというよりも、
選択肢を自分だけにすれば、必ず自分を選んでくれるはずだ――
そんな発想に基づいている。

それはつまり、
愛していたはずの主人公すら信じることができていなかったということだ。

この“信じられなさ”こそが、彼女の妄執と狂気の根源だったのではないかと感じた。

しかし「海の光」では、そんな由良が初めて“愛”を知り、主人公以外のために贖罪という選択をする。

自分の子を愛し、世間から虐げられることを避けるために、自らの罪を認める――
それは、これまでの彼女からは想像もできない変化だった。

「海の影」が由良らしい結末だとするならば、「海の光」は、彼女が“本物の愛”を知り、
新たに生まれ変わった結末だと言えるだろう。

そして、そのエンディングを彩るスチルもまた、非常に美しく印象的だった。

アマカノ2CG

 

まとめ

・グロCGもあるため、耐性ないとキツイ
・展開が辛いものもある
・ハッピーエンド…とは言えないかもしれない
・先の気になるシナリオ展開
・グラフィックと音楽が魅力的
・狂気的だが魅力もあるヒロイン
・考察しながら楽しむことが出来る
・リメイクなためUI周りも文句なし

初めて触れたイノグレ作品だったが、
他の作品にも手を伸ばしてみたいと思えるほどには楽しめた。

エロゲを3日でクリアしたのも久しぶりで、それだけ本作の世界にのめり込んでいたのだと思う。

由良の行いは決して許されるものではなく、理解できるものでもない。
それでもなお、彼女を魅力的だと感じてしまう――

そこにこそ、この作品の強さがあると感じた。

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